マネーフォワード共同創業者成功事例日本フィンテック

マネーフォワード創業者 辻庸介 × 瀧俊雄 — 事業・金融・技術が組んで上場した共同創業

CoPath 編集部8 分で読める

「お金まわりの課題は分かる。でも、それを一人で事業にできる自信がない」—— 起業を考える人がよくぶつかる壁です。株式会社マネーフォワードの 始まりは、事業を率いる人金融をよく知る人、そして作れるエンジニアが、それぞれの強みを持ち寄って生まれました。 代表の辻庸介と、共同創業に参画した瀧俊雄。 この組み合わせがどう出会い、どう役割を分け、上場企業にまで育てたのかを 見ていきます。

マネーフォワードとは — 「お金の課題」を解く SaaS

マネーフォワードは、個人向けの自動家計簿・資産管理サービス 「マネーフォワード ME」と、法人・個人事業主向けのクラウド会計・確定申告・ 請求書などの「マネーフォワード クラウド」を提供するフィンテック企業です。

  • 設立: 2012 年 5 月(東京・高田馬場の小さなオフィスから)
  • 創業メンバー: 志を共にする約 8 名でスタート
  • 主力プロダクト: 家計簿アプリ「マネーフォワード」(現・マネーフォワード ME)/ バックオフィス向け「マネーフォワード クラウド」
  • 上場: 2017 年 9 月、東証マザーズ(証券コード 3994)。 2021 年に市場第一部(現・プライム市場)へ

「家計や経理という、地味だが誰の生活にも関わるお金の作業を、自動化で楽にする」。 海外の流行りをなぞるのではなく、日本の個人・中小企業の現場課題に踏み込んだ点で、freeeとも通じる「日本特化 SaaS」の成功例です。

2012 年 — MBA 留学中の「お金の話」から始まった

マネーフォワードの起点は、2 人の出会いにあります。

辻庸介(代表取締役社長 CEO)= 事業を率いる側

辻庸介は 1976 年生まれ。京都大学農学部を卒業後、2001 年にソニーへ入社し 本社経理を担当。2004 年にマネックス証券へ出向、2007 年に転籍します。その後ペンシルベニア大学ウォートン校で MBA を取得(2011 年)。 マネックス証券で温めた新規事業の構想が社内では実らず、「だったら自分でやる」と外に飛び出したのが創業のきっかけでした。 金融の実務を知りつつ、事業として立ち上げ・経営する側の人物です。

瀧俊雄(取締役 兼 執行役員/Fintech 研究所長)= 金融の知見を持つ側

一方の瀧俊雄は 1981 年生まれ。慶應義塾大学経済学部を卒業後、野村證券(野村資本市場研究所)で家計行動や年金制度、 金融機関のビジネスモデルを研究しました。スタンフォード大学で MBAを 取得し、野村ホールディングスの企画部門を経て、2012 年のマネーフォワード創業に 参画。現在は取締役 兼 執行役員として、マネーフォワード Fintech 研究所長やグループの渉外(Public Affairs)も 担う、金融と制度をよく知る側の人物です。

出会いは「留学中のオンラインのやり取り」だった

2 人が知り合ったのは、辻がウォートン校、瀧がスタンフォード大学に在籍していたMBA 留学中。共通の知人を介してオンラインでつながり、「金融とインターネットを掛け合わせて、お金の世界を変えたい」という 瀧の関心が、辻の構想と重なりました。帰国後は週末に定例で集まる形で アイデアを磨き、志を共にできる仲間を集めていきます。

金融の世界を、テクノロジーで変えたい——その一点で、 別々の大学に留学していた 2 人はオンラインでつながった。

創業時には、アカウントアグリゲーション(複数口座の情報をまとめる技術)の 原型を作ったエンジニア浅野千尋(CTO)も加わりました。 事業(辻)・金融(瀧)・技術(浅野)がそろって初めて、 「銀行やカードの情報を自動でまとめる家計簿」という難しいプロダクトが形になったのです。

なぜこの組み合わせが効いたのか — 領域の違う 3 人の補完

マネーフォワードの創業が示すのは、強みの重ならない人が集まると、 一人では届かない領域まで手が届くということです。

  • 辻(事業側): 事業構想、資金調達、採用、経営。全体を前に進める。
  • 瀧(金融側): 家計・金融制度・規制への深い理解。 フィンテックという規制の重い領域で、事業を現実に着地させる。
  • 浅野(技術側): 口座情報を安全にまとめる技術を実装し、 プロダクトとして動かす。

フィンテックは、「良いアイデア」だけでは進めない領域です。 お金を扱う以上、金融の知識・信頼・技術のどれが欠けても形になりません。 辻が一人で全部を背負うのではなく、自分に足りない金融の深さと技術を、 それを持つ人と組んで埋めた——これが最初の一歩を可能にしました。

特別な才能の話ではありません。自分に無いスキルを、持っている人と組むという、共同創業のいちばん基本的で強い型です。

起業準備中のあなたへの学び

1.「詳しいだけ」では足りない領域がある

お金・医療・法律のように信頼と専門性が問われる領域ほど、 一人で全部をカバーするのは難しくなります。辻は金融の実務を知っていましたが、 それでも金融の研究者(瀧)と技術者(浅野)を仲間に迎えました。 「自分の弱い面を、強い人で補う」判断が早いほど、事業は動き出します。

2. 会社より先に「一緒に手を動かす期間」を持つ

辻と瀧たちは、いきなり会社を作ったのではなく、週末に集まってアイデアを磨く時間から始めました。 契約や役職を先に固めるより、小さく一緒に動いてみることが、 相性と本気度を確かめる最良のテストになります。

3. 役割をはっきり分ける

辻 = 事業・経営、瀧 = 金融・渉外、浅野 = 技術。誰が何を持つかが明確なほど、意思決定は速くなります。 同じタイプ同士より補い合えるタイプ同士が強いのは、freeeSmartHRにも共通する型です。

4. 出会いは「たまたまの縁」に頼りきらない

辻と瀧は留学という特別な環境で出会いました。とはいえ、誰もが留学や都合のいい紹介を持っているわけではありません。 だからこそ、「自分はこういう事業をやりたい」「こういうスキルを持つ相手を探している」 という意思を、縁の外でも発信できる場所が必要になります。

まとめ — 足りない領域は、持っている人と組めば埋まる

マネーフォワードの辻 × 瀧(+浅野)は、共同創業の王道の型を体現しています。

  1. 事業(辻)・金融(瀧)・技術(浅野)という、重ならない強みの補完
  2. 会社より先に、週末に一緒に手を動かして相性を確かめた
  3. 誰が何を持つかを明確に分けた役割分担
  4. そこから東証上場企業へ

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参考文献・出典

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