日本の SaaS 業界で「ARR 100 億円の壁」を突破できる企業はごく一握り。 その中で SmartHR は 2025 年に ARR 200 億円を達成し、日本特化 SaaS の最高峰として君臨しています。 この成功を支えてきたのが、2013 年の KUFU 創業期に出会った宮田昇始 (CEO) と内藤研介 (CDO) の補完関係。 本記事では、彼らが「攻めの内藤 × 守りの宮田」という独自のバランスで 何度もピボット失敗を乗り越え、SmartHR を日本最大級の人事労務 SaaS に 育てた共同創業の DNA を分解します。
SmartHR の 2025 年現在地
まず数字でその規模を確認しましょう。
- ARR: 200 億円突破 (2025-05、前年比 +150%)
- シリーズ E 調達: 214 億円 (2024-07、KKR・Ontario Teachers リード)
- 累計 VC 調達: 約 300 億円超
- 利用社数: 6 万社超
- 従業員: 1,500 名超
- 推定評価額: 1,800 億円超
SmartHR は「e-Gov API 連携で社会保険・労務手続きを電子申請まで完結させる」 という、日本特化の規制対応を強みに成長してきました。海外バズが効きにくい ローカル特化領域で、日本国内マーケットを徹底深掘りした成功事例です。
2013 年: 背水の陣で出会った 2 人
宮田と内藤の出会いは、2013 年に設立した KUFU 株式会社 (後の SmartHR) の 創業期に遡ります。
宮田昇始 (CEO): 難病経験からの社会保険への問題意識
宮田は 20 代で 脳脊髄液減少症という難病を経験しました。 闘病中、社会保険手続きの煩雑さに直面し「これは絶対に解決すべき課題だ」 と確信。複数のピボット失敗を経験しながら、社労士関連の事業を模索し続けました。
内藤研介 (CDO): エンジニア出身の事業発見能力
内藤はエンジニア出身で、KUFU 創業期に宮田と組みます。社会保険諸手続きを 社労士に取材する中で、彼が発見したのが 「e-Gov API」の存在でした。これによって、年金事務所・ハローワーク等への電子申請を 自動化できることが分かり、SmartHR の核心機能が見えたのです。
「次失敗したら諦める」の合意
2 人は 「次のプロダクトで成功しなければスタートアップを諦める」と合意し、まさに背水の陣で SmartHR を 2015 年にローンチ。Open Network Lab のアクセラレータに参加し、投資家の注目を集めます。
この「次失敗したら終わり」という共通体験が、彼らの結束の核となりました。 共同創業者にとって、共闘の経験 (それも危機をくぐった経験)ほど強い接着剤はありません。
役割分担の核心: 「攻めの内藤 × 守りの宮田」
SmartHR の組織を理解する鍵は、宮田自身が語った次の発言にあります。
「自分 1 人なら守りに入る。内藤の大胆な提案が拮抗を生む」
これは 「攻め × 守り」の補完関係を明示的に設計した 共同創業の典型例です。
宮田 (CEO) = 守り
- 事業ビジョン、対外発信、調達、CEO ブランディング
- SmartHR の「守りに入りがちな」性格を整える
- 長期的な持続可能性、組織設計、文化形成
内藤 (CDO) = 攻め
- プロダクト企画、大胆な発想 (e-Gov API 発見など)
- 技術と事業の橋渡し
- 「給与計算機能の追加で売上 5 倍を目指す」(2024) のような大胆戦略の起点
この補完性は、CoPath のマッチング診断で 「あなたは守り型 or 攻め型」という軸を必ず入れるべき根拠そのものです。同じタイプ同士の共同創業は、 意思決定が偏って失敗するリスクが高い。
CDO という独自役職の柔軟性
SmartHR の組織設計でユニークなのが、内藤の役職が CTO ではなく CDO (Chief Development Officer) だったことです。
一般的な「事業家 CEO × 技術 CTO」の 2 人組構造では、CTO が技術トップを 兼任します。しかし SmartHR は:
- 内藤 = CDO (Chief Development Officer、開発統括 + 事業の橋渡し)
- 佐藤 = CTO (Chief Technology Officer、専門的な技術リーダー)
この設計により、共同創業者の内藤は「技術と事業の中間役」として残り続け、 専門的な技術リーダーは別途プロを採用できる構造になりました。
この役職の柔軟性は、CoPath の Founder Agreement テンプレで「役職名の柔軟性」を明示すべき重要な事例です。 CTO というラベルにこだわらず、「自分の強み × 共同創業者の強み」で 最適な役職名を発明する自由度があると、組織のスケールが容易になります。
2021 年: CEO 早期譲渡という選択肢
SmartHR がさらに興味深いのは、2021 年 12 月に宮田が CEO を芹澤雅人氏 (元 CTO) に譲渡したことです。創業者にこだわらず、最適な経営者にバトンを 渡す柔軟性が、SmartHR の継続成長を支えました。
- 2013 年: 宮田 + 内藤が KUFU 創業
- 2015 年: SmartHR ローンチ
- 2021 年: 宮田 CEO 退任、芹澤氏が新 CEO 就任
- 2024 年: シリーズ E 214 億円調達
- 2025 年: ARR 200 億円突破
宮田は取締役会長として残り、新 CEO の芹澤氏に成長フェーズを任せる選択を しました。これは 「創業者 ≠ 永続的 CEO」という前提を 最初から共有していた可能性を示唆します。
CoPath ユーザーへのメッセージとして重要なのは、共同創業者と組むときに「CEO 譲渡の可能性」を最初から会話すること。 「自分が CEO であり続けたい」という前提に固執すると、会社の成長を阻害する ケースがあります。
5 つの維持メカニズム
1. 背水の陣の共通体験
「次失敗したら起業を諦める」という合意が、彼らの結束を作りました。 危機をくぐった経験は、契約書では作れない強固な信頼を生みます。
2. 守攻バランスの明示的設計
宮田自身が「自分1人なら守りに入る」と明言できる自己認識を持っていることが重要。 共同創業者と組むときは、自分の弱点を素直に認め、相手の強みを尊重する姿勢が 必要です。
3. CDO という柔軟な役職設計
CTO ではなく CDO とすることで、技術プロを別途採用できる構造を作りました。 役職名は「自分達の強みに合わせて発明する」自由度を持つべきです。
4. CEO 早期譲渡の選択肢
創業者が永続的 CEO であり続ける必要はない。最適なフェーズで適切な経営者に バトンを渡せる文化を作ることで、組織のスケールが可能になります。
5. 国内深掘りの戦略
SmartHR は海外バズに頼らず、日本特化の規制対応 (e-Gov API 連携) で 強みを作りました。CoPath 自身も「日本人向けマッチング」というローカル 深掘りで勝つ戦略なので、SmartHR は最高の参照軸です。
CoPath への学び (★最重要)
SmartHR の事例から、CoPath のマッチング設計に組み込むべき要素を整理します。
1. 守攻バランス診断の必須化
宮田の発言「自分1人なら守りに入る、内藤の大胆な提案が拮抗を生む」は、 CoPath の核心メッセージそのもの。マッチング診断で「あなたは守り型 / 攻め型」 の軸を必ず入れ、補完するペアを推奨する設計が必要です。
2. CTO ではなく CDO/CSO/CMO の柔軟な役職設計
Founder Agreement テンプレで「役職名はあなた達の強みに合わせて発明する」 ことを明示。CTO というラベルにこだわらない柔軟性を CoPath ユーザーに伝えます。
3. 「事前に小さなプロジェクトをやり切る経験」を強制
宮田 × 内藤の背水の陣的な共通体験は、CoPath マッチング後の「2 週間で 1 つの小プロジェクトを一緒に完了させる」機能 (Phase 2 検討) として実装する価値があります。
4. 「CEO 譲渡の可能性」を最初に会話
Founder Agreement に「将来 CEO を別の人に譲ることに合意できるか」という 条項を入れることで、創業者エゴでの硬直化を予防できます。
5. 日本国内深掘り戦略の正当化
SmartHR は海外バズなしで ARR 200 億円に到達した。CoPath も「日本人向け」 という制約を強みに変える戦略で勝てる、という確信を SmartHR は与えます。
まとめ: 「攻め × 守り」の補完関係が ARR 200 億円を生んだ
SmartHR の宮田 × 内藤の関係は、共同創業の理想形を体現しています。
- 背水の陣の共通体験 (次失敗したら諦める)
- 守攻バランスの明示的設計 (宮田=守り、内藤=攻め)
- CDO という柔軟な役職
- CEO 早期譲渡の選択肢
- 国内深掘りの戦略
これらは家族でも兄弟でもない、赤の他人同士が 「補完性」で結ばれた成功事例です。CoPath で出会う人と、こうした補完関係を意識的に 作っていくことで、SmartHR と同じスケールに到達する可能性が開けます。
共同創業者マッチング CoPathでは、こうした補完性を意識したマッチング設計を進めています。 まずは 募集ボードで、自分が共感できるプロジェクトを探すことから始めてください。 まずは無料で始められます。
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