「良いアイデアはある。でも自分では作れない」——これは、多くの起業準備中の人が ぶつかる最初の壁です。freee 株式会社の始まりは、まさにこの壁を「作れる人と組む」ことで越えた物語でした。事業側の佐々木大輔(CEO)と、技術側の横路隆(CTO)。 この「事業 × 技術」の 2 人組が、どう出会い、どう役割を分け、上場企業にまで 育てたのか。共同創業の王道パターンとして分解します。
freee とは — クラウド会計の代表格
freee は、中小企業や個人事業主向けのクラウド会計ソフト「freee 会計」や、 給与計算・労務管理の「freee 人事労務」などを提供する SaaS 企業です。
- 設立: 2012 年 7 月(当初はクラウド会計ソフトの開発から)
- 主力プロダクト: freee 会計(2013 年 3 月リリース)/freee 人事労務 ほか
- 上場: 2019 年 12 月、東証(マザーズ、証券コード 4478)
- クラウド会計ソフトの代表的サービスの一つに成長
「バックオフィス(経理・労務)の面倒を、テクノロジーで自動化する」という、 日本の中小企業の現場課題に深く根ざした事業。海外の流行りではなく、 国内の地味だが大きい課題を掘り下げた点で、SmartHRとも通じる「日本特化 SaaS」の成功例です。
2012 年 — 「作れる人を探している人がいる」から始まった
freee の始まりは、2 人の出会いそのものが象徴的です。
佐々木大輔(CEO)= アイデアと事業を持つ側
佐々木大輔は、一橋大学商学部を卒業後、博報堂、投資アナリスト、 ベンチャーの CFO などを経て、2008 年に Google 日本法人へ。 中小企業向けのマーケティングに携わりました。エンジニアではなく、「中小企業のバックオフィスをテクノロジーで楽にする」という事業アイデアと 構想を持つ側の人物です。
横路隆(CTO)= それを形にする側
一方の横路隆は、freee の共同創業者であり CTO(最高技術責任者)。 佐々木のアイデアを実際に動くプロダクトへと形にする、技術側の相棒です。エンジニアが片方にいなければ、freee のプロダクトは生まれませんでした。
出会いは「知人の紹介」だった
2 人が出会ったのは 2012 年 4 月。横路は知人伝いに、「面白いアイデアがあって、一緒に形にできるエンジニアを探している人がいる」という話を聞き、佐々木と会うことになります。
そして翌月のゴールデンウィーク、2 人は2 日間でfreee の原型となる プロトタイプを作成。その約 2 ヶ月後、2012 年 7 月に freee 株式会社を 設立しました。会う → 一緒に手を動かす → 会社にする、という流れが わずか数ヶ月で起きたのです。
「面白いアイデアがあって、一緒に形にできるエンジニアを探している人がいる」 — この一言から、上場企業 freee は始まった。
なぜこの組み合わせが効いたのか — 「作れない人 × 作れる人」の補完
freee の創業が示す最大の教訓は、「アイデアを持つ事業家」と 「それを作れるエンジニア」が別人でよい、ということです。
- 佐々木(事業側): 課題の発見、事業構想、資金調達、 対外発信、経営。ただし自分では作れない。
- 横路(技術側): アイデアを動くプロダクトにする、 開発と技術組織づくり。事業のアイデアはパートナーが持つ。
「アイデアがあるのに作れない」人は、しばしば「エンジニアリングを独学する」「外注する」という道を選びます。 しかし freee が選んだのは「作れる人を共同創業者として迎える」という 第 3 の道でした。2 日でプロトタイプが作れたのは、片方が本物のエンジニアだった からです。
これは特別な才能の話ではありません。自分に無いスキルを、 持っている人と組む——という、共同創業のいちばん基本的で強い型です。
起業準備中のあなたへの学び
1.「作れないから起業できない」は、思い込みかもしれない
アイデアはあるのにエンジニアがいない、という理由で立ち止まっている人は多い。 でも freee は、アイデアを持つ非エンジニアと、作れるエンジニアが組んだだけです。全部を一人で抱える必要はありません。詳しくは起業アイデアはあるのにエンジニアがいないも参考にしてください。
2. まず「一緒に小さく作ってみる」が信頼を生む
佐々木と横路は、会社を作る前に2 日でプロトタイプを一緒に作りました。 契約や役職を先に固めるより、小さく一緒に手を動かすことが、 相性と本気度を確かめる最良のテストになります。
3. 事業側と技術側で「役割」をはっきり分ける
佐々木 = CEO(事業・経営)、横路 = CTO(技術)。この役割の明確さが、迷いのない意思決定につながります。 同じタイプ同士より、補い合えるタイプ同士が強いのは、SmartHRや本田宗一郎 × 藤沢武夫にも共通する型です。
4. 出会いは「紹介」から生まれることが多い
freee の 2 人は知人の紹介で出会いました。とはいえ、都合よく紹介してくれる知人がいるとは限りません。 だからこそ、「作れる人/アイデアを持つ人を探している」という意思を、 紹介以外の場でも発信できる場所が必要になります。
まとめ — 「作れない人」と「作れる人」が組めば、形になる
freee の佐々木 × 横路は、共同創業のいちばん王道の型を体現しています。
- アイデアと事業を持つ人(佐々木)と、作れるエンジニア(横路)の補完
- 会社より先に、一緒に小さく作ってみる(2 日でプロトタイプ)
- 事業側 = CEO、技術側 = CTO の明確な役割分担
- そこから上場企業へ
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